男性の顔面醜状と逸失利益

女性と比べて、従来の裁判所は、男性の顔面醜状については逸失利益を基本的に否定していました。ただ、近時の裁判例や交通事故紛争処理センターの裁定事例の中には、男性の逸失利益を肯定するものも 散見されます。立証のハードルはありますが、逸失利益の請求の可能性を全否定するのは早急と思います。
例えば、裁判例については以下のものがあります。

①大阪地裁判決平成6年4月25日

顔面醜状12級13号と歯牙障害12級3号で併合11級の障害等級の5才男児に対して、18~67才まで10% の労働能力喪失を認定しました。

②京都地裁判決平成11年6月29日

5才男子について、顔面醜状が将来の就職や対人折衝について不利益を生じさせ、接客業や人の面前又は人目に触れる場所において働くことが要求される職業は困難となる等、選択出来る進路や職業の範囲を狭めたり、減収を生じる可能性が想定出来るとして、他に12級に該当する開瞼障害も残存している事を斟酌し18~67才までの49年間について、14%の労働能力喪失を認めています。

③東京地裁判決平成13年8月22日

顔面醜状12級13号、頚腰部の神経症状14級10号で併合12級が認められた19才男子予備校生について、男子と言えども醜状痕によって希望する仕事への就職が制限されたり、就職しても営業成績が上がらなかったり、仕事の能率や意欲を低下させて所得に影響を与えることは十分に考えられるとして症状固定から10年間は10%、その後の10年間は5%の労働能力の喪失を認めています。

④東京高裁判決平成14年6月18日

12級の外貌醜状と12級の歯牙障害で併合11級が認められた22才男子について、対人的面接が重要な職種によっては就労の機会や就労可能な職種を狭めたり、労働の意欲を低下させるとして67才まで5%の労働能力喪失を認めました。

男子の顔面醜状については、加害者側保険会社は、示談交渉において、逸失利益を否定する傾向にあります。しかし直近の裁判例をみると、対人関係への影響等を理由として裁判所は一定程度の逸失利益を肯定する傾向と評価できます。12級の労働能力喪失率は14%ですが、5%、10%を逓減方式で認めたり、その程度によっては、14%を67歳まで認めています。
示談交渉では逸失利益の獲得は困難が予想されますので、訴訟によって解決することが多いと思われます。男子の顔面醜状について、具体的には、被害者の性別,年齢,職業等を考慮した上で当該被害者の醜状痕が労働能力を実際に低下させているか等を検討して判断することになります。

大まかな判断基準としては下記の①②③という枠組みが参考になると言われております。

①労働能力に直接的な影響がある場合

醜状痕のために配置転換に至ったり,職業選択の幅が狭められるなどの形で,労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれのある場合には、一定程度の労働能力の喪失がみとめられることを理由とし逸失利益を認める。

②労働能力に間接的な影響がある場合

労働能力への直接的な影響は認めがたいが,対人関係や例外的な活動に消極的になるなどの形で,間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれが認められる場合には後遺障害慰謝料の増額事由として考慮し,原則として,100万円~200万円の幅で後遺障害慰謝料を増額する。

③労働能力に直接的・間接的に労働能力に影響を与えない場合

この場合には逸失利益は否定され、行為障害慰謝料も通常地裁基準通りとして増額されないこととする。

なお、最近、労災の事例ですが、⾦属を溶かす仕事中に顔⾯にやけどを負った男性が、労災保険制度の後遺障害等級表における著しい外貌の醜状に関する評価が、⼥性の7級に対し て男性は12級とされているのは、男⼥平等を定めた憲法に反するとして、 国の給付認定の取消しを求めた訴訟を提起。 京都地裁は、障害等級の男⼥格差は違憲と判⽰(平成22年5⽉27⽇)しております。逸失利益の男子の逸失利益にも一定程度影響する判例といえます。


 

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