労災保険と交通事故

最近、相談に比較的多い労災保険について説明いたします。特に外傷性頚部症候群、頚部捻挫、ムチ打ちの被害者の方で、休業損害の内払いも困難で生活費に困っておられるのに会社が嫌がるので労災保険を使っていないケースが散見されます。

業務中もしくは通勤途上であれば、労災保険の適用とすることになります。

労災保険適用のメリットは下記のとおりです。

①治療費の全額が労災保険の負担となります。

健康保険のように被害者の一部負担はなく、
被害者の過失事案では、治療費の過失相殺は労働基準監督署の保険会社に対する請求に対して行われるだけでら被害者は治療費部分に過失相殺は適用されないことになります。

②休業期間中の休業給付金は、休業4日目から支給されます。

③休業特別支給金が支給されます。

事故前3ヵ月間の総支給額÷3ヵ月間の総日数×20%×休業日数 が特別給付金として支給されます。

相手方保険会社からすでに100%の休業損害の支払いがなされていても、労災請求を行えば、給与の20%が支給され、結果として、120%を取得できることになります。

④自賠責と労災両方に後遺障害の申請可能です。

保険会社は、自賠責保険会社を通じて、調査事務所が後遺障害を認定します。 これとは別に、労災保険として後遺症が独自に認定しています。 調査事務所が、原則、後遺障害診断書と画像だけを参考に書類審査、認定するのに対して、労災保険では、顧問医が被害者を直接、診断して等級を認定しています。 審査精度が高い労災保険の方が後遺症は認定されやすいといえます。また、同じ認定基準を使用しているのですが、一般的には、常に労災保険の方が等級は高いのです。

ただし、労災保険は被害者に対する慰謝料の支給はありません。 労災保険は、後遺障害の支給では、自賠責保険との調整を行います。

外傷性頚部症候群で14級9号が認定されると、自賠責保険は75万円を被害者に振り込みます。
75万円の内訳は、後遺障害慰謝料32万円、逸失利益が43万円です。
労災保険でも14級が認定されると給付基礎日額の56日分が支払われることになります。
給付基礎日額とは、(事故前3ヵ月間の総支給額÷事故前3ヵ月間の総日数)で求めた額となります。
仮に、給付基礎日額が1万円のときは、1万円×56日分=56万円が支払の対象ですが、自賠から取得している逸失利益43万円は差し引かれます。
56万円-43万円=13万円が支払われることになり、これを支給調整と呼んでいます。
これ以外に、障害特別支給金として8万円、ボーナス特別支給金が56日分が支払われています。
ボーナス特別支給金とは、(過去1年間に支払われたボーナスの支給額÷365日)で日額を求めます。
両方を総取りすることはできませんが、両方から支給される事実に変わりはありません。

⑥労災保険では、後遺障害等級が7級以上であれば、一時金ではなく、障害年金で支給します。

⑦将来の再発にも対応がなされます。

労災保険では、主治医から再発申請が提出された場合、この時点から労災保険の適用がなされます。  治療費も休業給付金も労災が支払ってもらえます。なお、症状固定後の治療費も負担してくれます。

脊髄損傷、頭頚部外傷症候群などについては、アフターケア制度が設けられています。 この制度を利用すれば、症状固定後の治療費も労災保険が負担してくれます。

以上のように、労災保険は、被害者にとってメリットの大きい制度です。にもかかわらず、勤務先会社が労災保険利用を避ける傾向にあります。とりわけ、神戸市内でも中堅企業、中小企業にみられる傾向です。まず、加害者が自動車保険に加入していても、これを理由に勤務先が適用拒否をすることはできません。

従業員が業務中に交通事故で受傷したこと、 従業員が通勤の途上に交通事故で受傷したこと、この2つが労災保険適用の要件です。この2つの要件を満たしていれば、届出だけで受理されるのです。 労災保険は、被災労働者の申立で自動適用され、勤務先には労災保険の適否の権限が認められていません。

会社として自動車通勤を認めていないので、適用ができないと勤務先会社が労災保険利用を拒むことがあります。しかしながら、労災保険法7条の2では、「通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所の間を合理的な経路および方法によって往復することを言う。」とされており、電車、バス、自動車、自転車や徒歩による通勤は、一般に合理的な方法と認められていますので勤務先会社の拒否には理由がないことがほとんどです。

労災保険は、強制適用事業ですから、パートでもアルバイトでも、日雇いであっても、雇用しているのであれば加入しなければなりません。


 

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