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55中心性頚髄損傷

脊髄損傷は、大きな外力が脊椎に加わることで、骨折や脱臼となり、発症しています。

ところが、中心性頚髄損傷は、骨折などが認められないのに、運動麻痺、疼痛、ビリビリするような両上肢や手指の痺れの訴えがなされるのです。

頚部が急激に後ろに反り返る、過伸展が、中心性頚髄損傷の原因と考えられています。

また、この症例は、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症が認められる中年以降の被害者に、比較的軽微な受傷機転、例えばちょっとした追突などで発症することも報告されています。

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上肢を支配する神経線維は頚髄の中心寄り、下肢では、外側寄りに位置することから、中心部が損傷を受けると、上肢の症状が重く出現します。

頚髄の辺縁部は周辺を取り囲む多くの血管によって栄養を受けていますが、中心部は中心動脈から枝分かれした毛細血管から栄養を受けています。

このことからも、頚髄中心部は、損傷を受けやすく、回復しにくいという特徴があります。

上肢の症状が強く、運動麻痺、疼痛、ビリビリするような両手や手指の痺れ、パジャマのボタンを留めることができない等、手指の巧緻運動障害を引き起こします。

痺れでは、タンスの角に肘をぶつけたときに感じる、ジンジンする痺れが、両上肢に継続するのです。

神経学的検査では、深部腱反射が亢進、ホフマン、トレムナー反射、ワルテンベルグ徴候では病的反射が出現し、両上肢は筋萎縮でやせ細ります。

そして、箸を使用して食事ができない等、手指の巧緻運動障害が認められます。

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ホフマン反射        トレムナー反射

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ワルテンベルグ徴候

MRIのT2強調画像では、脊髄の中心部が白く光る、高輝度所見が認められます。

損保料率機構調査事務所は、上記の高輝度所見を認定の要件としていますが、この画像所見が確認できるのは、受傷後の急性期、2、3カ月に限定されると言われています。

慢性期にはT1強調画像で軟化型損傷を発見、立証する必要があるのですが、画像所見が得られにくいことが多く、簡単なことではありません。

現在、MRIのT2スターで、出血痕が立証できないか、放射線科の専門医に探ってもらっています。

これで立証できれば、画期的なことです。

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中心性頚髄損傷のMRI T2強調画像です。

C6右横の脊髄に白い高輝度所見が確認できます。

 ※T1強調画像とは、体内の脂肪分を強調して撮影する方法で、椎間板の突出や出血の状態を確認するのに有意な撮影方法です。全体的に黒っぽく、コントラストがハッキリして見えます。

 ※T2強調画像は、体内の水分を強調して撮影する方法で、髄液や膀胱内の状態を確認するのに有意な撮影法であり、全体的に白っぽくぼやけているような印象を受けます。

治療としては、受傷直後、48~72時間以内に、入院下でステロイドを大量投与すれば、治療効果が得られるとして、1997年から厚生労働省の認可のもとに臨床使用が開始されています。

しかし、確実性に疑問があり、副作用の検証がなされておらず、若年で再生力の強い患者以外では、効果が薄いとの報告もなされています。

膀胱障害が認められることもあります。

症状固定は、非可逆性脊髄損傷ですから、受傷後6ヵ月で決断しています。

中心性頚髄損傷における後遺障害のポイント

 

1)70%は疑わしい

中心性頚髄損傷と診断されていても、MRIで高輝度所見の得られない頚椎症、中には単純ムチウチで症状過多も混在しています。

中心性頚髄損傷となれば、事故直後のステロイド療法が有効とされており、被害者が両上肢の痺れを訴えただけで、入院を指示し、ステロイド療法が実施する治療先もあります。

この治療が終了、MRIの撮影を行っても、高輝度所見が得られないとき、本来であれば、「中心性頚髄損傷ではなく頚椎症でした?」 傷病名を訂正すべきであるのに、これを行うことなく、退院させる医師が、やたらに多いのです。

2)中心性頚髄損傷の傷病名があれば、早期のMRI撮影で高輝度所見を立証しなければなりません。

立証された中心性頚髄損傷は、脊髄損傷ですから、決して、ムチウチのカテゴリーではありません。

後遺障害の立証では、後遺障害診断書以外に、「脊髄症状判定用」 の用紙を提出し、肩・肘機能、手指機能、下肢機能、上肢・下肢・体幹の知覚機能、膀胱機能、日常生活状況について、検査と結果の記載をお願いしなければなりません。

3)等級は、神経系統の機能の障害で審査され、障害の程度により、9級10号、7級4号、5級2号が選択されています。膀胱機能障害は、併合の対象となります。

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