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69 脊髄空洞症

脊髄の中心部に脳脊髄液がたまった空洞ができることにより、脊髄を内側から圧迫して、さまざまな神経症状を発症する病気です。

発症に男女差はなく、あらゆる年齢層にみられます。

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頚髄に発生することが多いため、上肢や手の痛みまたは感覚障害で始まることが多く、空洞が拡大すると手や腕の麻痺や筋萎縮、歩行障害、さらには排尿や排便の障害が出てきます。

上肢にみられる感覚障害には特徴があり、温痛覚=温度や痛みの感覚は障害されますが、触覚と振動覚・位置覚などの深部感覚は保たれます。このことを解離性感覚障害といいます。

そのため、腕を強くつままれた時に触れられたという感覚はあるのに、痛みを感じない、あるいは火傷をしても熱さを感じないということが起こります。

空洞が延髄に及ぶ延髄空洞症では、顔面の感覚障害や嚥下障害が起こります。

このため食事の際に飲み込みが悪くなり、飲み込んだ水分が誤って気管に入る誤嚥が発生します。

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感覚障害などの症状に対しては、薬剤による対症療法を行います。

キアリ奇形に伴う脊髄空洞症の場合は、大後頭孔減圧術と呼ばれる外科的手術を行います。

この手術は頭から首に移行する部分で脊髄周辺の空間を広げて、髄液の流れをよくするというもので、多くの例で、空洞が縮小して、症状も軽快します。

しかし、症状がある程度以上進行してしまったあとで手術をしても有効でない場合が多いので、早期に診断して治療することが大切です。

空洞のできる詳しいメカニズムは、不明な部分が多いのですが、脊髄空洞症を原因により、以下の5つに分類されています。

①キアリ奇形に伴う脊髄空洞症、

アーノルド・キアリ奇形=小脳の下端が脊椎の方向に垂れ下がったようにめり込んでくる奇形、

後頭部の奥にある小脳が生まれつき脊髄の方へ下に落ち込んでいる小脳扁桃下垂がキアリ奇形の特徴で、これはMRIで確認ができます。

キアリ奇形による脊髄空洞症であれば、残念ですが、交通事故受傷との因果関係は完全否定され、後遺障害の獲得は、スッパリとあきらめなければなりません。

症状としては、片手の痛みや温度に対する感覚が鈍くなり、やがて両手の力が入らなくなります。

症状の進行はゆっくりですが、治療せずに放置したときは、約半数の人は20年以内に下肢にも麻痺が進行し、車椅子が必要になると言われており、直ちに手術適用となります。

頭蓋から脊柱管に移行する部分を大後頭孔と呼びますが、この空間を拡げることによって、髄液の流れを良くする大後頭孔拡大術が選択されています。

これは、本来頭蓋内に収まっているはずの小脳の一部が大後頭孔を経て脊柱管内に下垂しているキアリ奇形により、脳脊髄液の交通が妨げられ空洞が形成されているケースで有効なオペです。

大多数は、術後1ヵ月ほどで空洞を縮小させることができ、症状も改善します。

脊髄空洞内に直接細いチューブを挿入し、空洞内にたまった水を他の場所に流すようにする手術は空洞短絡術 と言います。

空洞の水をカテーテルで、くも膜下腔に流す方法が一般に行われています。

空洞から、腹腔部、胸腔部に流すこともあります。

この手術は、比較的簡単で有効です。

 

②外傷後脊髄空洞症、

損傷部の髄膜癒着に起因する脊髄の係留効果と髄液の環流障害が関与していると言われています。

キアリ奇形がMRI画像で否定されるケースでは、後遺障害獲得の可能性が出てくるのです。

症状の現れ方は、空洞の大きさや長さによって異なります。

MRI所見では、C4/5では後方より、C5/6では、前方からの圧迫が高度であることが確認でき、そしてC3/4/5の後方の脊髄に空洞症が認められます。

空洞自体の処置は行わずにC3~7の頚椎椎弓形成術を行った結果、空洞は消失しています。

この画像では、小脳扁桃下垂=キアリ奇形は認められません。

脊髄の圧迫による髄液環流障害をきたしたケースで、圧迫の原因は頚椎症性脊髄症=変形性頚椎症です。

除圧手術のみで空洞は消失、両前腕痛は軽快、痙性歩行も改善しています。

本件は交通事故ではありませんが、事故であるとするなら、11級7号、8級2号の選択となります。

脊髄空洞症における後遺障害のポイント

1)キアリ奇形に伴う脊髄空洞症であると診断されたときは、後遺障害の獲得を諦めます。

交通事故をきっかけに、キアリ奇形が発見されたのであり、交通事故をきっかけにキアリ奇形が発症したのではありません。後遺症は諦めるのですが、放置しておくと車椅子状態も予想されます。

紹介している専門医を受診し、オペによる改善を目指してください。

 

2)キアリ奇形ではない、外傷後脊髄空洞症と診断されたときは、後遺障害の獲得を目指します。

事故後の経過で、空洞の大きさや長さが拡大しているときは、オペが選択されます。

専門医を受診し、オペを受けて改善を目指します。

空洞の大きさや長さが縮小しているときは、オペの選択はなく、保存療法による経過観察となります。

いずれであっても、脊髄空洞症はMRI画像で、発症している神経症状、片手の痛みや温度に対する感覚が鈍い、両手の握力の低下などを丁寧に拾い上げ、専門医には、自賠書式、脊髄症状判定用に記載をお願いして立証しています。

後遺障害等級は、神経系統の機能の障害であれば、9級10号を目指すことになり、3椎以上の脊柱管拡大形成術が実施され、神経系統の機能の障害が消失したときは、11級7号、8級2号を目指すことになります。

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