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135複合靭帯損傷(ふくごうじんたいそんしょう)

 膝関節の安定性は、靭帯で制御されています。

膝関節には、4つの主要靭帯、

①ACL前十字靭帯、

②PCL後十字靭帯、

③MCL内側側副靭帯、

④LCL外側側副靭帯があり、

⑤PLS膝関節後外側支持機構と共に、膝の安定性を保持、正しい運動軌跡を誘導しています。

 

ACL前十字靭帯は、骨が前方にずれることを制御しています。

PCL後十字靭帯は、骨が後方にずれることを制御しています。

MCL内側側副靭帯は、膝関節の外反=X脚となるような方向を制御しています。

LCL外側側副靭帯は、膝関節の内反=O脚となるような方向を制御しています。

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膝の複合靭帯損傷とは、上記の4つの靭帯中、2つ以上の靭帯が損傷を受けた状態を言います。

単独の靭帯損傷に比して、膝関節の不安定性が大きく、同時に半月板損傷や軟骨損傷、PLS膝関節後外側支持機構の損傷を合併する頻度も高く、相当に高度な機能障害をもたらします。

 

交通事故で、大きな外力が膝に集中したときは、これらの靱帯が同時に損傷することがあります。

その際に生じる機能障害は、個々の靱帯が損傷したときよりも、重大なものとなります。

例えば、PCL後十字靭帯は、下腿が後方に落ち込むことを防ぐ働きがあります。

また、LCL外側側副靭帯は、下腿が内反=内側に折れ曲がることを防いでいます。

仮に、PCL後十字靭帯とLCL外側側副靭帯を同時に傷害すると、下腿が後方に落ち込んだり、内反しやすくなったりするだけでなく、下腿が捻れるように後外側にずれる、回旋不安定症状が出現します。

 

複合靭帯損傷の機能障害は複雑かつ深刻です。

治療・手術も当然に高い技量が要求され、仮に損傷した靱帯を全て再建したとしても、予後は不良で、膝の不安定性を残す、反対に硬くなり過ぎて膝の可動域制限を残すことも予想されます。

 

複合靱帯損傷では、どの靭帯を再建するか、損傷の程度や受傷からの時間、また、被害者の活動性などを考慮した上で決定しなければならず、いずれにしても医大系のスポーツ外来、膝の専門医を頼ることになります。

 

LCL、PLS、複合靱帯損傷における後遺障害のポイント

 

1)滅多に発症しない靱帯損傷ですが、難治性で非常に厄介なものです。

新鮮例では、急性期の対応の仕方によって、オペ後の膝関節機能を大きく左右します。

しかし、ほとんどの被害者は、治療先や医師を選ぶことができません。

救急搬送された全ての治療先に、膝関節の専門医が配置されていることもありません。

 

そこで、治療の基本として、2つだけ、覚えておいてください。

①PCL後十字靱帯とMCL内側々副靱帯は、本来、高い治癒能力を有している靭帯ですが、ACL前十字靱帯とPLS膝関節後外側支持機構は、治療が極めて難しい靱帯であること、

 

②全ての靭帯を1回のオペで修復、再建することは、膝関節の専門医のみができること、

 

その上で、傷病名、症状から、被害者としては、治療先と専門医の選択を急ぐことになります。

 

2)残念ながら、見逃された結果、陳旧性の靱帯損傷となったとき、

PLS膝関節後外側支持機構の損傷では、内反および回旋動揺性による膝くずれが頻繁に生じます。陳旧性であっても、オペが選択されることになりますが、十分に満足できる結果を得るのは難しくなります。

したがって、症状固定として後遺障害を申請します。

受傷から6カ月以上を経過して再オペとなっても、保険会社が治療費を負担することはありません。

労災保険適用であれば、治療費は負担され、休業給付金の支払いも続けられますが、ここから3カ月の入院、2カ月以上のリハビリで休業が続くと、解雇・退職となる可能性もあります。

解雇、退職は、損害賠償の対象ではありません。

被害者としての選択肢は、症状固定、後遺障害診断、損害賠償しか残されていないのです。

 

3)PLS損傷では、内反動揺性に対して、LCLの再建術、回旋動揺性に対しては膝窩筋腱 と膝窩腓骨靭帯の再建術が行われています。

複合靱帯損傷では、ハムストリングや膝蓋腱の移植を伴う高度な再建術が採用されています。

いずれも、解決後に、再建術を模索することになります。

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