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144 大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)

大腿骨の上部は、大腿骨頭、大腿骨頚部、転子部と呼ばれる3つの部位で構成されています。

144-1

大腿骨は頚部で内側に屈曲し、大腿骨頭と骨盤骨である寛骨臼蓋で股関節を形成しています。

ヒトは、屈曲した大腿骨で身体を支えているのですが、屈曲した部分は、転倒や転落の際に、外力が集中することになり、骨折しやすい形状となっています。

 

この骨折は、骨粗鬆症で骨が脆くなった高齢者に多発することでも有名です。

交通事故では、自転車や原付VS自動車の衝突で、自転車や原付の運転者に多発しており、とくに、高齢者では、骨折をきっかけとして寝たきりや、外に出かけようとしない、引きこもりになってしまうことが、社会問題となっています。

 

医学的には、股関節の中で骨折する大腿骨頚部骨折と、股関節より膝方向に離れた関節外の部分で骨折する大腿骨転子部骨折、転子下骨折の3つに分類されています。

3つの分類の中では、大腿骨頚部骨折が、圧倒的多数です。

 

事故直後から、痛み、腫れ、関節の可動域制限を訴え、歩行できないことが一般的ですが、安定型の骨折では、転子部・転子下骨折に比較すると、痛みも軽く、受傷直後は歩けることもあります。

頚部骨折は股関節内骨折であり、骨折による腫れが、肘や膝のようには、目立たないのです。

 

単純XP撮影で、大腿骨頚部の骨折が見られます。

頚部骨折では、受傷直後に、XPで骨折が見えないことがあります。

こんなときは、MRI撮影で、骨折を探らなくてはなりません。

144-2

Grade Ⅰ 不完全な骨折、

Grade Ⅱ 完全骨折で、転位のないもの、

Grade Ⅲ 完全骨折で、骨頭が回旋転位しているもの、

Grade Ⅳ 完全骨折で、骨折部が離開しているもの、

 

イラストのⅠ、Ⅱでズレのないものは、保存的に治療が可能ですが、長期間のベッド上の安静と牽引を必要とするため、そのまま寝たきりになってしまう可能性が予想されます。

したがって、早期離床をめざす観点から、ズレがなくとも観血的に固定術が実施されるのが一般的です。Ⅲ、Ⅳの状況、関節の中で骨折し、骨折部が転位したときは、骨頭に栄養を送る血液の流れが遮断され、骨壊死を起こし、骨癒合が困難となります。こんなときは、壊死に陥る骨頭を超高分子量ポリエチレンの人工骨頭に換える人工骨頭置換術が一般的です。

144-3

オペであれば、2日目から、立位訓練が開始されています。

難治性の理由としては、以下の4つが指摘されています。

①被害者が高齢者では、骨再生能力が低下していること、

②骨折面が斜めになるため、骨癒合を妨げ、変形・偽関節を合併する可能性が高いこと、

③本骨折は頚部を走行している2本の動脈を損傷する可能性が高く、血行障害による骨癒合不良や骨頭壊死を合併する可能性が高いこと、

④年齢からくる意欲の低下等で、効果的なリハビリがスムースに実行できないこと、

 

大腿骨頚部内側骨折における後遺障害のポイント

 

1)股関節の機能障害、股関節の痛みが後遺障害の対象となります。

股関節

主要運動

参考運動

 

膝屈曲

伸展

外転

内転

合計

外旋

内旋

正常値

125

15

45

20

205

45

45

8級7号

15

5

5

5

30

 

 

10級11号

65

10

25

10

110

25

25

12級7号

95

25

35

15

160

35

35

144-4 144-5

       膝屈曲と伸展              内転と外転

144-6 外旋と内旋

①股関節の機能障害について

股関節の主要運動は、①膝屈曲と伸展 ②外転と内転の2種類があります。

8級7号では、2つの主要運動の全てで、強直もしくは、それに近い状態でなければなりません。

 

膝屈曲・伸展と、外転・内転のいずれか一方の主要運動が、健側の2分の1以下に制限されているときは、10級11号が、4分の3以下に制限されているときは、12級7号が認定される可能性があります。

10、12級では、膝屈曲・伸展と、外転・内転が、切り離されていることを正しく理解することです。

主要運動の合計で+10°となっても、諦めてはいけません。

主要運動のいずれかが2分の1+10°4分の3+10°では、参考運動の外旋・内旋のいずれかが2分の1もしくは4分の3以下に制限されていれば、10級11号、12級7号が認定される可能性があります。

 

さて、角度だけで、等級を論じるのは、愚の骨頂です。

主要運動の1つが2分の1以下に制限されていても、調査事務所は、「どうして2分の1以下なの?」

その整合性について、異常なほどに、こだわって、審査しているからです。

 

本件は骨折ですから、整合性は、骨折の形状とオペの内容、その後の骨癒合にあるのです。

したがって、骨折後の骨癒合は、3DCTで立証します。

GradeⅠで骨折線が不明瞭なときは、MRI撮影で立証しなければなりません。

 

立証せざるもの、後遺障害にあらず!

不十分な立証では、等級は薄められてしまいます。

 

②人工骨頭または人工関節に置換されたときは、10級11号が認定される可能性があります。

この立証は、XPで十分です。

 

ルール上は、人工骨頭または人工関節を挿入置換し、かつ当該関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されたときは、8級6号が認定すると規定されていますが、滅多に発生していません。

8級6号では、MRI、3DCTの撮影を受けなければなりません。

 

2)症状固定時期について

高齢者以外では、抜釘後に症状固定、後遺障害診断を受けることになります。

抜釘のタイミングは、骨癒合が得られた時点であり、常識的には6カ月前後です。

早期の症状固定であれば、股関節の機能障害で12級7号が見込めます。

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弁護士  岡田 潤

当事務所は、神戸・芦屋で交通事故の被害にあわれた方に交通事故に関するトラブルの知識をご提供することを目的に去年の12月にサイトをオープンさせ、多数のご相談をお受けいたしました。

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